お客様が飲食店で感じる“人手不足”のシグナルとは?
~機械化を望む声は約9割。外食利用者が機械化を受け入れやすいポイントは「時間短縮」と「セルフ化」 ~
鈴茂器工株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:鈴木美奈子、以下 鈴茂器工)は、全国の20歳から69歳の男女400名の中から「年1回以上の外食利用をする」と回答した344名を対象に飲食店の人手不足に関する調査2025を実施しました。
人手不足がサービスの質低下や産業全体の成長を阻害する可能性も懸念されており、飲食店にとって避けては通れない大きな課題としてメディア等でも日々取り上げられております。実際に飲食店を利用するお客様からの視点で、どういった傾向が見られると飲食店が人手不足だと感じるのかなどの人手不足のシグナルや、飲食店の機械化に望む際のポイントを中心に傾向をまとめました。
年1回以上の外食利用者の4割以上となる41.9%の人が飲食店で人手不足の影響を感じるような場面が一年前と比べ増えたと回答している。この人手不足を感じる層(N=144)は、飲食店の人手不足に関して、より敏感に感じている高感度層と位置付けられる。
飲食店の人手不足の影響を感じる場面としては、年1回以上の外食利用者(N=344)では価格に関することが最も高く、半数近い49.7%の人が「価格が上がっていること」で飲食店の人手不足を感じている。これは近年の物価上昇による影響が大きいものの、「人手不足で時給を上げないと人が集まらない。」などの切実な事情もあり寄与していると考えられる。次いで、「料理の提供/配膳までに時間が掛かる29.1%」、「テーブル等が片付いていない 28.5%」、「注文するまでに時間がかかる22.1%」と続き、5人に1人以上がこれらをきっかけに人手不足の影響を感じていることがわかった。上記であげた場面は入店後に実際に食事をするまでに起こる対応であり、現状は、入店から着席までの食事の前段階の対応でお客様は人手不足を感じていることがわかった。次いで、会計・食事後の下げ膳などがあげられ、食事後の対応は着席後の対応に次いで、顕在化しつつある人手不足を感じる場面と言える結果となった。
飲食店で人手不足の影響を感じる場面についての質問を、年1回以上の外食利用者と人手不足の影響が増えたと感じる層で比較してみると差分(ギャップ)が多い項目として、「価格の高騰」「テーブル等の片付け」「注文までの時間」「席案内時間」が浮かびあがった。特に、「席案内時間」に関しては、飲食店の人手不足に関してより敏感に感じている高感度層で高くなる傾向から、まだ本格的に顕在化していない人手不足の“隠れシグナル”として注視する必要がある。待ち時間の長期化はお客様満足度を大きく低下させることになり、再来店に繋がらない要因となっていると考えられる。また、待ち時間中に入店を諦めてしまうことも想定されるため、飲食店では注視し対策を講じることが急務と考えられる。
本調査の外食利用者(N=344)の内、これまでに飲食店・外食業での就労やアルバイトの経験がある方(N=145)に飲食店のスタッフが感じる業務の難しさや本当は時間をかけたい業務を自由記述で聞いたところ、特徴的なコメントとして、ムラなくお客様に快適な空間を提供し、スピード感を持って業務にあたることの難しさを感じている印象がある。また、お客様との適切なコミュニケーションを取りたいが、なかなかそこに時間が割けられていない苦悩がヒシヒシと感じられる結果となった。
飲食店の機械化について聞いたところ、「賛成28.2%」・「どちらかと言えば賛成58.4%」と賛成派が86.6%となり、実に9割近くの外食利用者が飲食店の機械化に対して賛成のスタンスをとった。
賛成派のコメントを見ると、身近な店舗で機械化が進んでおり、タッチパネル等の端末操作やセルフ化の機器の扱い、配膳ロボットでのオペレーションに慣れてきており、問題なく受け入れられていると感じられるコメントが多く見られた。一方で1割ほどの機械化反対派のコメントは、料理そのものには人の温かみが欲しいという意見と、店舗スタッフとのコミュニケーションを求めるコメントが見られた。このような点からも、全くスタッフのいない全自動の機械化された飲食店への抵抗は感じるものの、人手不足の解消にむかう飲食店の機械化で、人と機械が共存できるような飲食店への抵抗は少ないものと感じられ、期待が持てる結果となった。
飲食店で人の手を介さず機械化(マシンや機器・ロボット・システム・端末などの活用)できたら良いと思うことを聞いたところ、「注文対応54.7%」、「会計対応43.0%」がTOP2となった。配膳・下げ膳や厨房での洗い物、受付・配席案内対応なども高い結果となった。これは先ほどの自由記述の結果とも連動する結果となっている。タッチパネルや端末などの操作に慣れてきており、ある程度、“セルフ化“でお客様個人に任せる方が、自分のペースで過ごすことができ、ストレスも少なく満足度の向上につながることがわかった。
飲食店で、人にしかできない業務・人にやってもらいたい業務を自由記述で聞いたところ、衛生的な環境での調理は機械主導ではなくスタッフに求めるという声が多かった。それ以外では、タッチパネルでのトラブル対応や、商品やメニューなどの詳細を聞きたい時、料理の解説をしながらの配膳など、温かみのある接客をスタッフに求めていることがわかった。美味しい料理につながる調理とゆとりを持った質の高い接客対応が飲食店のスタッフに求められていることがわかった。